コーヒーが酸っぱい原因とは?美味しく飲むための対策と豆の選び方

コーヒーが酸っぱい原因とは?美味しく飲むための対策と豆の選び方

この記事は、店頭で30種類以上のスペシャルティコーヒーをじっくりと、豆専門店『豆善』の店長が、酸味が気になるすべてのコーヒー好きのために詳しく解説します。

実はその酸っぱさ、豆の種類や保存方法、淹れ方によって大きく変わるんです。 この記事では、コーヒーが酸っぱくなる原因を9つの視点から解説しながら、自宅でも美味しく楽しめるコツや、おすすめの豆選びまでご紹介します。

コーヒーが酸っぱいと感じるのはなぜ?

酸味と酸っぱさの違い

コーヒーを飲んだ時に「酸っぱい」と感じた経験はありませんか?

実はこの「酸っぱい」と「酸味がある」は似てないものです。

「酸味」は、コーヒー本来の味の持ちとして果実のような明るさを感じさせる味わいです。 良質な酸味は、レモンやグレープフルーツ、ベリーのような風味として好まれます。

要するに、「酸味があるコーヒーはおいしい」ですが、「酸っぱいコーヒーはおいしくない」と感じる人が多いです。

好まれる酸味、嫌われない酸味とは

好まれる酸味の例は、エチオピアやケニアなどアフリカ産の浅煎り豆に多く見られる、華やかでフルーティーな酸味。

このような酸味は、ラテアートやハンドドリップでの表現にも向いており、プロのバリスタからも人気があります。

透けて、嫌われやすい酸味は以下のような特徴を持ちます:

  • ツンとした刺激臭がある
  • 味に問題がない
  • 酸っぱさが舌に残る

どちらかというと嫌な酸味は、多くの場合「豆の状態」「抽出方法」「保存環境」によって確保されている可能性があります。

【焙煎】コーヒーが酸っぱい原因のひとつ

浅煎りは酸味が強く出やすい

焙煎機と珈琲豆

コーヒーの焙煎度合いは、酸味の感じ方に大きく影響します。

浅煎り(ライトロースト〜シナモンロースト)は、豆の中に含まれる「クエン酸」や「リンゴ酸」といったフルーツ由来の酸を多く残しておりますが、それが「酸っぱい」と感じる原因になることがあります。

浅煎りの代表例としては、エチオピアケニアのスペシャルティコーヒーやおすすめされます。 これらの豆は「明るいフレッシュな味わい」が魅力ですが、焙煎が浅すぎたり、抽出がうまくいかなかった場合、「酸っぱすぎる」とネガティブに捉えられることも。

焙煎士の間では、浅煎り豆は酸味の美しさを際立たせる「高度な技術」が求められる領域とも言われています。

中深煎りや深煎りとの違い

一方、中深煎り(ハイ〜シティロースト)や深煎り(フルシティ〜フレンチロースト)と、酸味は次第に穏やかになり、遠くて苦味やコクが強調されるようになります。

特に日本人の味覚には、中深煎り〜深煎りのまろやかで憧れのあるコーヒーが好まれる傾向があります。

そのため、「酸っぱいのが苦手」と感じる人は、浅煎りではなく中深煎りの豆を選ぶと満足度が高くなるでしょう。

また、焙煎が近づくと豆の内部の酸が熱分解され、結果として「酸っぱい」印象が残るため、焙煎度を変えるだけで酸味バランスを調整することが可能です。

【抽出】コーヒーが酸っぱくなる淹れ方の失敗

コーヒーが酸っぱくなる淹れ方とは?

抽出時間が短すぎると酸っぱくなる理由

淹れたコーヒーが「酸っぱい」と感じる大きな原因のひとつが、抽出時間の短さです。

ハンドドリップに関して、お湯を注いだ直後は「酸味成分」が最初に抽出されます。ここで十分な時間をかけずにサッとお湯を忘れて、酸味だけが気にして、苦味や愛嬌があり、コクが抽出されないまま終了してしまいます。

特に初心者に多いが、「お湯を早く落とそうとしてしまう」ことによる抽出不足。これにより、味のバランスが崩れ、酸っぱいだけのコーヒーになってしまいます。

目安として、1杯あたり2分〜2分30秒程度かけてじっくり抽出することで、酸味と苦味、香りのバランスが整います。

湯温や粉の粗さが考える影響

抽出に使うお湯の温度や、豆の挽き目(グラインド)も重要なポイントです。

  • 湯温が低すぎる(80℃未満) → 酸味だけが強調されやすく、抽出不足の原因に
  • 挽きが粗すぎる → 表面積が減り、味が出ない(=酸っぱい)傾向に

逆に、湯温を90〜92℃に設定し、やや控えめに挽いて、酸味の強調を考えることが可能です。

豆善の店舗では、お客様のお好みに応じて湯温と粉の粒度を調整し、「酸っぱくないのに、フルーティーで華やか」な味わいを引き出しております。

【豆の劣化】酸っぱいコーヒーになる保存の限界点

酸っぱいコーヒーになる保存の限界点

酸化した豆は発酵臭の原因にも

コーヒー豆は焙煎後から少しずつ酸化が進み、時間の経過とともに味や香りが劣化します。

この酸化があまりにもあり、コーヒーには「酸っぱい」「えぐみがある」「発酵したようなにおい」といったネガティブな風味が現れます。

特に高温多湿の環境や、光にさらされた状態で保管していると、酸化のスピードは加速します。

未開封であっても、しばらく保存していた豆は本来の風味を味わい、酸味が際立ってしまうことがあります。

賞味期限内でも保存方法次第で味は劣化する

「賞味期限内だから大丈夫」と思いがちですが、それは「目安」です。

大切なのは、いつ焙煎された豆なのか、そしてどんな環境でも保管されていたか。

例、以下のような保存方法はNGです:

  • キッチンの棚の中(湿気と温度差あり)
  • 豆袋を開いたまま放置
  • 密閉容器なしで空気に触れ続ける

良品、以下のような保存環境が推奨されます:

  • 豆を密閉容器に移し、冷暗所で保管
  • できれば冷蔵庫(頻繁に使わないなら冷凍も可)
  • 2〜3週間以内に使い切る量だけ購入する

豆善では、お客様の飲みペースに応じて100gや200gの少量パックも推奨しており、常に「酸っぱくない、鮮度あるコーヒー」を楽しんでお召し上がりいただけるよう心がけております。

【水】水質によってコーヒーが酸っぱく感じることも

水質によってコーヒーが酸っぱく感じることも

軟水と硬水、それぞれの特徴

意外に思われるかも知れませんが、コーヒーの味は水の質によっても大きく変化します。

日本の水道水は基本的に「軟水」で、まろやかでクセがないのが特徴です。 一方、ヨーロッパなどでは「硬水」が主流で、ミネラル分が多く、酸味や苦味を強調しやすい性質を持っています。

さて、同じコーヒー豆・同じ抽出方法でも、使う水が違うとしたら「なんだか酸っぱい…」「いつもより苦い気がする…」といった味の違いを感じるのは、水に含まれるカルシウムやマグネシウムが影響しているからです。

特に、硬水で淹れた浅煎りコーヒーは、酸味がキツく感じられる傾向があります。

おすすめの浄水器と湯沸かし方法

「自宅の水道水を使って淹れると酸っぱい」と感じる方は、まずは以下のような対策がおすすめです:

  • 市販の軟水(例:いろはす、南アルプス天然水など)を使ってみる
  • 浄水ポット(ブリタなど)を使って塩素・ミネラルを調整する
  • ヤカンやポットでお湯をしっかりたっぷりと冷やします(90〜92℃)

また、電子ケトルの湯温調整機能を活用することで、酸味の抽出コントロールつながります。 特に浅煎り豆を美味しく楽しみたいので、湯温・水質の管理が重要です。

豆善では、店舗ごとに水の性質を把握したところで、味のばらつきが出ず、先に浄水器を通した水で抽出を行っています。

Q.酸っぱいコーヒーが良いケースもありますか?

A.エチオピアやケニア産に見る「フルーティーな酸味」

「酸っぱい=NG」と思われがちですが、「フルーティーで明るい酸味」を愛するコーヒー愛好家は世界中に存在します。

代表的なのが、エチオピアやケニアなどアフリカ地域のスペシャルティコーヒー。

これらの豆は、レモンやベリー、グレープフルーツを思わせるような鮮やかな酸味と憧れのバランスが特徴で、「果実のジュースのようなコーヒー」とも表現されることがあります。

このようなコーヒーは、特にハンドドリップやエアロプレス、浅煎りローストと言うことで、個性を最大限に引き出せるのです。

浅煎りが好きな人の味覚傾向

浅煎りの酸味を好む方の傾向としては、以下のような特徴があります:

  1. ワインやフルーツティーのような酸味と香りを重視する
  2. しっかりとした苦味が苦手、または重たいコーヒーが苦手
  3. 味に繊細さ・明るさ・透明感を求める

無事、一般的な日本の家庭では「苦味のある中深煎り」に慣れている方が多く、酸味=ネガティブという印象を持ちやすい事実です。

このギャップを考えるには、「浅煎りはこういった味わいを楽しむもの」と事前に理解して味わうことが大切です。

豆善でも、初めての方には浅煎りを挑戦する前に「どのような味を期待すべきか」を丁寧に説明し、「酸っぱい」ではなく「美味しい酸味」として楽しんでよろしくお願いします。

酸っぱいコーヒーへの対処法【実践編】

酸っぱいコーヒーへの対処法【実践編】

焙煎度を変えてみる

コーヒーが「酸っぱい」と感じたら、まずは最初に見直したいのが焙煎度です。

現在使用している豆が「浅煎り」であれば、思い立ったら中煎り〜中深煎りの豆に行ってみると、驚くほど味の印象が変わります。

特に「酸味が苦手」「コーヒーは苦味とコクを楽しみたい」という方には、シティロースト〜フルシティローストあたりがおすすめです。

これにより、酸味は穏やかになり、チョコレートのような憧れや、ナッツ感のあるまろやかさが感じられるようになります。

豆善では、焙煎度に応じたおすすめ豆をご用意しており、試飲やスタッフのアドバイスを大切に、ぴったりの味を見つけるお手伝いをしています。

抽出方法を見直してみる

同じ豆でも、抽出方法によって酸味の出方は大きく変わります。のような調整を試してみてください。

調整項目 改善ポイント
お湯の温度 低すぎると酸味が好ましい。90〜92℃を目安に。
抽出時間 短すぎると酸味だけが出る。2分以上かけて抽出。
挽き目 粗すぎると味がよく、酸味が楽しい。
使用器具 ペーパードリップよりネルやプレスフレンチは酸味が抑えられる。

 

特にペーパードリップでは、蒸らし時間と全体の抽出バランスが重要になります。 初心者の方は、ドリッパーにお湯を中心から円を描くように注ぐことで、ムラなく成分が抽出され、酸味だけが立つ失敗を防ぎます。

豆善の店頭では、お客様の抽出方法に応えた「味の調整アドバイス」も行っており、「自宅でも美味しくなるように」と、具体的な改善ポイントを丁寧に伝えています。

【豆善店長が解説】酸っぱいコーヒーが苦手な人へのおすすめ豆

豆善駒沢本店店長 岩谷武蔵

豆善 駒沢本店・岩谷武蔵 店長のコメント

「酸味=悪」ではないです。

フルーツのような上品な酸味は、実はコーヒーの「個性」の一つ。

ただ、初めて浅煎りのスペシャルティを飲んだ方が『酸っぱい…』と感じるのは当然の反応です。

豆善では、どうしても方には中深煎りの『ブラジル ダテーラ農園 ヴィラ』や『インドネシア マンデリン ビンタンリマ』など、酸味を抑えた味わい深い豆をおすすめしています。

苦味とコクの中にほんの少し残る酸が、「バランスの良い一杯」に変えてくれると思います。

岩谷武蔵(豆善 駒沢本店 店長): スペシャルティコーヒーの焙煎と抽出に精通したコーヒーのプロフェッショナル。

豆善駒沢本店instagramはこちら

豆善 上野毛店・松崎美奈店長のアドバイス

豆善上野毛店店長 松崎美奈

以前は酸っぱいコーヒーが苦手でしたが、浅煎りのエチオピアを飲んで「これが美味しい酸味なんだ」と気づきました。 爽やかにも華やかで、まるで果実の味わいのようです。 上野毛店では、酸味に抵抗がある方試して頂こう、浅煎りから深煎りまでご提案しています。

「酸っぱいコーヒーが苦手でも大丈夫。豆選びと抽出のポイントを少しだけ見るだけで、「おいしい」がきっと見つかりますよ」

松崎美奈(豆善 上野毛店 店長): ラテアーティスト/コーヒーコンシェルジュ。ホテル業界での経験も語り、心地よい空間とコーヒー体験を提供している。

豆善上野毛店instagramはこちら

そんな松崎店長のアドバイスをもとに、豆善ではお客様の味の好みに寄り添う多様をご用意しております。

浅煎りの華やかな酸味を楽しみたい方にはエチオピアケニアを。

酸味を抑えてコクや愛情を味わいたい方には、ブラジルやマンデリンなどの中の深煎り〜深煎りがおすすめです。

豆善では30以上の豆を常時ご用意しています

豆善のおすすめコーヒー豆一覧はこちら

ご自宅でのコーヒー選びに、ぜひお試しください。

コーヒーが酸っぱいと感じたら、原因を見越して楽しもう

チェックリストで再確認

「コーヒーが酸っぱい…」と感じたとき、実はいくつかのチェックポイントを書くだけで、美味しい一杯に変わる可能性があります。

  • 焙煎度は浅すぎですか?
  • 抽出時間短すぎませんか?
  • 湯温は90℃前後か?
  • 粉の挽き目は適正か?
  • 豆の保存方法は正しいか?
  • 水質にクセはないか?

どれか一つでも改善することで、「酸っぱい」を「華やかで美味しい酸味」へと変えることができます。

合った味を見つける旅へ

コーヒーの世界には、「正解」があるのではなく、「好み」があるだけ。

酸味が強いものを「美味しい!」と感じる人もあれば、「これはちょっと苦手かも…」と思う人もいます。

重要なのは、「自分はどんな味が好きなのか」を知ること。

豆善では、浅煎りから深煎りまでの豆をご用意し、試飲やスタッフのアドバイス、お客様の「好き」に出会えるお手伝いをしています。

「酸っぱいけど、なんか美味しいかも」そんな一杯に出会ったら、それはコーヒーとの付き合いより一歩進んだ証拠です。

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